テレビ敗戦、新たな出発 2012 2 5

書名 電機・最終戦争 生き残りへの選択
著者 日本経済新聞社 編集  日本経済新聞出版社

 2011年は、「テレビ敗戦の年」として記憶されるという。
確かに、日本の電機メーカーは、軒並み巨額の赤字を計上しました。
その原因は、テレビにあります。
「作っても作っても赤字」というのが、テレビ事業だったかもしれません。
 このような状況を見て、野口悠紀雄氏は、
「週刊東洋経済2012.1.21」で、このように評論します。
 パナソニックもシャープも、韓国のサムスンを意識していた。
しかし、サムスンは、量的に拡大しているだけだ。
実際、テレビ事業は、赤字である。
 日本のメーカーは、サムスンに負けたのではない。
EMS企業(電子機器の受託生産企業)に負けたのだ。
 重要なのは、液晶テレビの生産モデルが、
巨大EMSの成長で本質的に変わったことである。
 それにもかかわらず、垂直統合モデルを維持し、
量でサムスンと競ったことが、基本的な誤りである。
 サムスン電子の液晶パネル部門は、
ウォン安にもかかわらず、利益が出ていないと指摘しています。
 さて、今、全盛を極めているアップルも、
負けた時代があったのです。
アップルは、パソコンメーカーとして成功していた時代があるのです。
 しかし、ウィンドウズ95の登場で情勢が変わったのです。
アップルは、パソコンの大衆化に乗り遅れてしまったのです。
同時に、これは、マイクロソフト・インテル帝国の船出を意味していました。
しかし、この帝国にも、スマートフォンの出現で、陰りが見えています。
 私は、こう言いましょう。
負けることは、いいことだ。
新たな出発ができるからだ。
勝ち続けていれば、今のやり方を変えることができない。
 しかし、時代は、変わっていく。
そして、消費者も、いつの間にか変わっていく。
 かつて、地球では、恐竜全盛の時代がありました。
温暖な気候と豊富な食糧によって、
恐竜は、どんどん体を巨大化させ、地上の王者となりました。
 しかし、地球が寒冷化していくと、食糧が不足し、
恐竜は、地上から姿を消していったのです。
 恐竜に「地球が寒冷化したから、変わりなさい」と言っても、
それは、無理な話だったでしょう。
 しかし、企業は変わることができるのです。
環境の変化に応じて、企業は、変わることができるはずです。

インテル対クアルコム 2012 1 15
 競争こそが進化や進歩をもたらす。
競争がなくなれば、停滞がやってくる。
 私は、インテルのことが心配だったのです。
今のインテルがあるのは、AMDというライバルが存在したからです。
CPUの開発では、歴史の残る戦いがインテルとAMDで繰り広げられました。
 しかし、現状では、強力な競争相手を失って、
インテルは停滞しているように思えます。
おそらく、インテルはライバルなしには成長できない会社でしょう。
 2012年1月15日の日本経済新聞Web版には、
「インテルとクアルコム、越境バトル」
「米半導体大手のインテルとクアルコムが、
それぞれの事業領域に攻め込もうとしている」
 その背景には、記事にあるように、
「スマートフォンのパソコン化」と
「パソコンのスマートフォン化」にあるのかもしれません。
 パソコン業界の巨人とスマートフォン業界の巨人。
インテルの過去を見れば、
こうした強力なライバルの出現は、
インテルの進化をもらすことになるでしょう。
 あるいは、長年続いた「インテル帝国」に終止符を打つのは、
やはり、クアルコムになるのか。
 いずれにせよ、スマートフォンの出現が、
インテル・マイクロソフトの停滞に終止符を打つのを期待しています。

スマートフォン 2012 1 9

書名 これからスマートフォンが起こすこと
    携帯電話がなくなる パソコンは消える
著者 本田 雅一  東洋経済新報社

 この本の表紙には、
「2年以内に、すべてが変わる。
劇的な主役交代、そして勝ち組企業の漂流・・・」と書いてあります。
 さて、書評に入りましょう。
「(家庭で)パソコンを買って、何に使うのか?」
 この質問は、この20年来、聞かれたことでしょう。
家庭におけるパソコンの用途は、
一昔前ならば、ゲームだったと思います。
かつて、パソコン・ゲームが全盛の時代がありました。
しかし、それは、プレイステーションに取って代わられました。
 ワープロ?
確かに、巨大で高性能なワープロソフトが、
パソコンにインストールされています。
しかし、家庭で長文を書くものか?
実は、このサイトは、文字ベースでは、17MBもあります。
しかし、ワープロソフトではなく、
ウィンドウズのオマケ・ソフトである「メモ帳」で書いています。
 年賀状?
日本人ならば、年賀状作成のためにパソコンを使うと答えるかもしれない。
しかし、年1回使うために、10万円以上もするパソコンを買うのか?
 ステータスシンボル?
これが、本当の理由かもしれません。
ITの時代に、自分は乗り遅れていないことを証明するために、
パソコンを買うというのが、最大の(隠れた)理由かもしれません。
 結局、「パソコンを買って、何に使うのか?」という質問に対して、
明確な答えは出ないまま、数十年が過ぎたと思います。
 しかし、著者によると、答えが出るという。
「スマートフォンは、パソコンである」
つまり、スマートフォンは携帯電話ではなく、
電話機能がついたパソコンであると。
 確かに、そういう視点で見れば、
スマートフォンは、パソコンそのものである。
 しかし、そうであれば、大変なことである。
スマートフォンは、従来型のパソコンやノートパソコンを駆逐してしまうでしょう。
同時、携帯電話も駆逐してしまうでしょう。
このような分野に巨額の投資をしていた企業は、困惑するかもしれません。
 スマートフォンがパソコンであるとすると、
お決まりの質問が出るかもしれません。
「CPUは何?」
CPUは、テレビCMで有名なインテルではなく、
クアルコムが多いでしょう。
 だから、最近は、仮にインテルが業績見通しを下方修正しても、
株式市場には、影響が少なくなっています。
かつては、インテルの業績動向は、株式市場に激震をもたらしていました。
 インテルといえば、マイクロソフトを連想するでしょう。
マイクロソフトは、「(家庭で)パソコンを買って、何に使うのか?」に対して、
誰もが納得する回答を出したのか。
結局、「ステータスシンボル」という回答を出したと思います。
インテルとマイクロソフトの製品を所有していれば、あなたは一流であると。
 しかし、「スマートフォンがパソコンである」とするならば、
一流の象徴だったインテルもマイクロソフトも、過去の企業となるでしょう。
スマートフォン・ビジネスに乗り遅れた印象が強いでしょう。
来るウィンドウズ8で、スマートフォンに、どう取り組むのか。
 スマートフォンでは、画面が小さくて困る?
もし、iPADのようなタブレット型のパソコンが売れるようになると、
従来型のパソコンやノートパソコンは大きな打撃を受けるかもしれません。
若い世代は、そもそもキーボードが付いているパソコンを、
レトロのような感覚で見るようになるでしょう。
タッチパネルに慣れてしまうと、キーボードを打つのは、
クラシックな感覚を覚えるでしょう。
 私の感想?
スマートフォンに対する私の感想は、
「ついにズボンの後ろポケットにパソコンが入る時代になってしまった。
しかし、これで、やっとパソコンがマニアのものから、みんなのものになった」
 マイクロソフトのビル・ゲイツ氏の夢は実現したのです。
ゲイツ氏の夢は、「すべての人にパソコンを」というものだったと思います。
スマートフォンが、ゲイツ氏の夢を実現させたのです。
























































































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